お茶への愛と情熱。
伝統と革新が息づく銘茶。
太田 裕介 佐賀県 嬉野「太田重喜製茶工場」
一見、寡黙でクールな印象を受ける太田さん。
しかし、お茶について語り始めると、歴史から焼き物に至るまで止まることを知らず…お茶への愛と情熱は計り知れません。そして、たまに見せるユーモラスな一面も魅力的。そんな太田さんのお茶は、不思議と飲み続けるにつれ、おいしさが増してくる気がします。
地域のこと
佐賀県 嬉野
佐賀県西部に位置する嬉野市。
町の中心地に湧く「嬉野温泉」は
日本三大美肌の湯と言われ、
地域の人々はもちろん、多くの観光客が訪れます。
お茶の産地としても歴史があり、
樹齢350年以上の茶の大茶樹(だいちゃじゅ)は、
国の天然記念物に指定されています。
温泉街を抜け、山を登っていくと、
美しく整えられた茶畑が広がります。
茶畑によって表情が異なり、
それぞれ個性豊かな景観を楽しむことができます。
また、お茶に関連した焼き物の歴史も古く、
嬉野の焼き物「肥前吉田焼」の
素朴でかわいらしい急須や湯のみも人気です。
太田重喜製茶工場の特徴や取り組み
こだわりの農法
「永田農法」
標高150~500mの山地の約20カ所に畑が点在。
約10品種を栽培し、収穫時期を調整しながら
質の高いお茶を作られています。
太田さんの畑は「永田農法」の考えに基づき
栽培が行われています。
きっかけとなったのは、
四代目の重喜さんが
お茶の栽培中に農薬中毒に見舞われたことでした。
農薬に頼る栽培に疑問を持つようになり
栽培方法を模索していた際、
作物を丈夫に育てるためには、
本当に作物や土が求めている
肥料や栽培を行うべきという
「永田農法」の考え方に共感。
昭和53年よりこの農法に転換し、
全て無農薬で栽培されています。
職人気質
- 一つずつの作業や工程を丁寧に、大切に…。
お茶に対して、真っすぐに向き合うストイックな姿に職人気質を感じる。
お茶作りへの姿勢
- お茶の良い香りが漂う加工場。
趣のある工場では、一連の工程に目を光らせる太田さんの姿が。
太田重喜製茶工場の特徴や取り組み
伝統とチャレンジ
太田重喜製茶工場は、
嬉野独特の蒸製玉緑茶「ぐり茶」と呼ばれるお茶を
メインに製造しています。
その傍ら、昭和63年という早い時期から
紅茶についても独学で学び、
製造をスタート。
今では、研究を重ねて作り上げた
香り豊かな紅茶は
多くのファンに支持され、
緑茶にならぶ人気を誇ります。
近年は、嬉野伝統の釜炒り茶の製造も再開するなど、
古来の技法を大切に守りながら、
新しいことにもチャレンジ。
探求心と好奇心、
なにより「より良いお茶を作りたい」という気持ちが、
太田さんのお茶をおいしくするのです。
茶葉・素材への探求心
- それぞれが持つ個性を、最大限に引き出す栽培・加工方法を模索。
使用する部位や、それに合わせた火入れなどを、組み合わせ作り上げていく。
楽しい「こころみ」
- 太田さんのその探究心はお茶以外にも向けられ、新たな試みとして、レモングラスやカモミールなどのハーブ栽培にも挑戦。
地域活性にも貢献。
嬉野を盛り上げたい!- 地元・嬉野への思いも熱い。地域の素晴らしさを知ってもらうために、イベントなどにも積極的に参加。
「うれしの紅茶振興協議会」の会長を務めるなど、嬉野を盛り上げるべく奮闘中!