
お茶を育て、森を育てる。
見つめる先は、
その先の未来。
お茶を育て、森を育てる。
見つめる先は、
その先の未来。
フットワークが軽く、好奇心旺盛な少年のようなまなざし。
飄々としながらも物事の神髄を見極め、追い求めていく姿勢は、お茶だけでなく、天野さんの生き方すべてに通じること。人間とは、自然とは、そしてそこで生きることとは…。そんなことを、お茶を通して教わっているような気がします。
水俣市は熊本県の最南部に位置し、
鹿児島との県境にある地域です。
海沿いの農産物では、
みかんなど柑橘類の生産地として有名です。
山間部ではお茶の生産が盛んで、
産地としての知名度は低いものの、
それぞれの茶農家が特色のある
おいしいお茶を生産しています。
過去の環境問題を受け、
エコ活動などにも積極的に取り組み、
環境への意識が高い市でもあります。
その成果もあり、海や山を訪れると、
その美しさに驚かされます。
水俣川の源流、標高580mの石飛高原で
お茶作りを始めて、三代目。
第二開拓団であった初代は、
標高が高く、辺鄙なこの地で
何を作れば良いものか、
試行錯誤の連続だったそうです。
そしてたどり着いたのが、
軽量で町にも運びやすい「お茶」でした。
とはいえ、水俣の食品に対しての
イメージの悪さと、
お茶の産地としての知名度のなさから
苦戦の日々…。
そのイメージを払拭しようと1979年以降、
無農薬・無化学肥料へと転換。
今では自然と寄り添う
お茶作りに取り組まれています。
「良いお茶を作るには、良い山がなくてはならない」
と天野さんは言います。
そもそも、良いお茶というのは
どのようなお茶のことをいうのだろう…。
それは、過剰に人が介入しない環境で育ち、
その土地の風土が育んだ
お茶のことなのかもしれません。
お茶の畑を耕すだけでなく、
その畑のある山や環境のことにも目を向ける。
人が手入れをしなくなった山林や山里の管理など、
天野さんの視線は
その先の未来へと向けられています。
秘境といっても過言ではない奥深き山間に建つ、
天野さんの工場やご自宅。
そんな環境を受け入れ、
楽しむかのように、
無駄なものを極力出さずに土へと返す、
自然循環型の暮らしを実践されています。
「おがくず」を使ったバイオトイレなど、
驚くほどクリーン!
山中にありながら、
これは人類の最先端の暮らしではないか…
と感動を覚えるほど。
こんな生活がもっと
街中でも実践されたらいいのにと
思ってしまいます。